こんにちは。
シンデレラシューズはぴったりのハイヒールを求める女性のためのフィッティングサロン。
本日も足と靴に関する情報をお届けしていきます!
目次
木型って何?
木型(きがた)・靴型(くつがた)・ラスト。
なんとなく聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
でも、実際に木型を見たことがある方は少ないのかもしれません。
先日、こんな出来事がありました。
靴の専門店の販売員さんに、「この靴と同じ木型で、デザイン違いありますか?」と尋ねた所、
案内していただいた靴の形がかなり違うのです。
元の靴はつま先が丸い形。販売員さんにご案内してもらった靴は少しつま先が尖っていました。
「え・・・・?あの、同じ木型を探しているのですが?」
と聞いた所、「はい!これは、つま先の形が少々違いますが、木型は同じなんです!!」との事。
この矛盾があなたは理解できますか?
同じ木型とは、形やサイズが寸分違わず同じである。
「木型」もしくは「ラスト」とも呼びますが、これは靴の元になる土台の「型」です。
この「木型」に「甲革」または「アッパー」と呼ばれる、革を型紙通りに縫い合わせた物を被せ、
強い力で木型に添わせながら接着剤で留め、シワにならないように革を叩きながら木型になじませていきます。
そして、熱をかけて革を柔らかくしたり冷まして安定させたりしながら1~2日間放置、
最後にヒールを釘打ち、靴底を貼って靴は出来上がるのです。
※今回はセメント式製法の説明です。
デザインが違っても、木型が同じであれば内部の空間は全く同じになるはずですね。
※多少、素材の違いによって大きさが変わる場合はあります。
なので、「少し形はちがいますが、木型は同じです!」は、ありえない事なのです。
同じように見えても違う、奥が深い木型の世界。
INTER CHAUSSURES(インターショシュール)というイタリアのブランドがあります。
こちらのブランド、スクエアトウで長方形のモチーフがついた、よく似たデザインの靴がたくさんあるのです。
全部同じに見えませんか?笑
でも、この中には木型が複数あります。
靴は9種類ありますが、さて木型は何種類あるでしょう?
ぜひ、数えてみてください!
※答えは記事の最後にあります!
木型の違いはここで見分ける!
では、木型の違いの見分けかたについて解説していきましょう。
例えば、こちらの二つ。
ほとんど大差なく、素材とメタルモチーフのデザインが少し違うだけ、のように見えるかもしれません。
でも、この靴を重ね合わせてみると・・・・。
黄色のラインがスエード素材、赤のラインがエナメル素材の方の靴です。
まず、大きな違いとしてヒールの高さと種類が違います。
とても基本的な事ですが、よく
「この木型でヒールの太さ違いはありますか?」
「この木型でヒールの高さ違いはありますか?」
などと聞かれる事がありました。
「同じ木型でヒール違い」というのは、基本的にあまりありません。
ヒールの靴とくっつく部分を「椀(わん)」と言いますが、椀の部分は大きさ・傾斜などが一つ一つ異なる事が多く、
同じヒールの高さだったとしてもヒールの形状が違えば同じ木型を使って靴を作ることは出来ないのです。
ヒールが違えば木型は違うということです。
上記の木型も、真上からみた形はかなり似ていて同じ木型だと思ってしまいそうでが、違う木型です。
もう一つ例をお見せしましょう。
今度はこの二足です。
こんな風に、同じスクエアに見えていてもつま先の四角い部分の幅が違いますね。
黄色いラインがゴールドのモチーフ付きのもの、赤いラインが黒いエナメルのモチーフ付きのものです。
これはかなりはき心地に影響があるでしょう。
幅が広い靴はより、足がスクエア型の方に合うことでしょう。
ギリシャ型の方が履くと前に滑って人差し指が当たるかもしれません。
お次は、横からのシルエットを比較してみましょう。
ヒールの高さも同じくらいで、かなり似ているように見えます。
こちらも重ね合わせてみると、こんな風につま先の上がり具体がかなり違います。
赤いラインが甲のモチーフが小さい方の靴ですが、つま先がぐっと上がっていますね。
このように同じに見えても本当に違うのが「木型」なのです。
そして、木型が違えばはき心地は必ず変わります。
過去にはき心地が良かった靴の木型を、こんな風に細かく分析する事ができれば、またぴったりの靴に出会える確率は上がるでしょう。
ただ、「木型のどの特徴が足にあっていたのか」を見極めるには少し技術が必要です。
それが知りたい方は、ぜひ専門家にご相談くださいね。
Written by Kumi Matsumoto
※クイズの答えは4種類でした!!
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