お店で勧められた靴なのに合わない、その本当の理由。

Other Shoe trouble 最重要記事 靴選びの教科書

こんにちは。

シンデレラシューズはぴったりのハイヒールを求める女性のためのフィッティングサロン。

本日も足と靴に関する情報をお届けしていきます!

驚く様なサイズ間違いが少なくない。

先日、シンデレラシューズで足の計測をされたお客様。

足長という足の縦の長さを、実際のサイズよりも1.5㎝も大きく勘違いされていました。

いつも履いているサイズは24.0㎝だったのですが、実際の足の大きさは22.5㎝だったのです!!

 

とても驚かれていましたが、かかとに親指がスポッ!と軽々入ってしまうほど。

また、足の外周である足囲もご自身のサイズのDよりも3サイズも大きいEEでした。

そう、この方は縦・横共に3サイズずつ大きい靴を履いていらっしゃったのです。

縦横3つずつサイズが大きい靴が合うはずがないし、かかとがパカパカでストラップが無いとまともに歩けないし、

前に滑って指が痛くて痛くて、靴擦れがたくさん出来るのも当然です><

 

ブランド名を見れば、婦人靴の有名専門店できちんと販売員教育も行なっているはずのお店。

「店員さんに何も言われなかったですか?」と聞くと、

「いえ、何も・・・? あ、買った時に私が急いでいたので、そう言うことを話す時間もなかったので・・・。」

とのこと。

残念に思いながらも、

「確かにお客様が急いでいるなら引き止めることはできないのがお店側の立場かもしれない・・・。」

とその時は思い、会いやすい靴のアドバイスをして施術は終了しました。

お店の方から、驚くようなアドバイス!

その日のうちにそのお客様は自分の足に合う靴を求めて、合いやすいとお伝えしたお店に行かれました。

実は上記のサイズ間違いで買っていた靴と同じブランドです。

サイズさえ間違っていなければとても足に合うブランドだったのです。

すぐ目の前にぴったりの靴があったのに、サイズを3つも大きいものを選んでしまったがために、

痛い思いをしてしまっていたのです。

 

でも、悲しいことに再度そのお店に行ったことによって、その方は余計に混乱させられる事になりました。

お店の方に「足のサイズは22.5㎝です」と伝えたところ、その方に24.0㎝をオススメしたそうです。

足の実寸が22.5㎝の場合「捨て寸」が1.5㎝ほど必要なため、24.0㎝が適正だ

と説明されたそうですが、これは完全な間違いです。

日本製の靴裏に書かれているサイズは、「捨て寸」を省いた足の実寸の数値なのです。(上記ピンクが日本サイズ)

反対に海外の靴は、「捨て寸」を込みでサイズ表記されている事が多いです。(上記黄色が海外サイズ)

単純に日本のサイズを変換して海外の靴を買うと失敗しやすいですよ。お気をつけください!

このお客様は、またもや適正なサイズにたどり着くことを、お店の販売員さんに阻止されてしまったのです。

足長間違い6割超えの異常事態。その原因は?

シンデレラシューズを訪れるお客様の約6割が自分の足長を大きく勘違いされています。

なぜ、こんなに多くの人が自分のサイズを正しく知る事ができないのでしょうか。

今回のケースは極端な例ですが、その原因の多くはお店の方が大きめを勧める事だろうと思います。

お店の方が大きめを勧める理由は二つあります。

 

①ゆるい方が足に合っていると本気で思っている。

②小さいよりは大きい方が、「クレーム」になりにくいから。

 

大きい靴は痛くもなりますし、長期的に見て足の健康を損なう非常に危険なものですが、

それを店頭でしっかり説明出来る人材も、時間もいないというのが現状です。

だからクレームになりにくく、ゆったりしている靴の方が楽そう、という根拠のない思い込みで接客が行われています。

これを長年繰り返していると、実際のサイズよりもずっと大きい靴を自分のサイズだと信じ込む様になるのです。

日本の靴の販売員の知識レベルの実態

誰もが知る様な、世界的に有名な某コレクションブランド(1足10万円以上!)の靴の販売員の方が、

シンデレラシューズにいらしゃった事がありました。

自社の靴を履いて店頭に立たねばならず、もう痛くて痛くて耐えられなくなってのご来訪とのこと。

測ってみると自分の足のサイズを大きく間違っていて、驚かれていました。

シューフィッティングの基本をお伝えしましたが、全て初めて聞く内容だとのこと。

その方は、会社からその様な知識を学ぶチャンスを一度も与えられたことはないと、おっしゃっていました。

販売員の方が受ける「社員教育」はフィッティングのことだけ、ぽっかり抜け落ちている様です。

 

シューフィッターの知識と言うのは、非常に難しく、解剖学の知識なども必要になる高度な技術です。

資格取得にも数十万円のお金と、実務経験一年以上の縛りもあるので付け焼き刃では取得できません。

受講者のほとんどが靴販売の会社の方で、会社で費用を負担してもらって受講されています。

自主的にシューフィッターを取る方は極めて少ないのです。

 

なので、シューフィッターの有資格者の採用を外部からすることは不可能に近いのです。

有資格者しか採用しないとなると、販売員さんの確保ができない。

だから、こんな風に「未経験歓迎!」なんです。

昨日までコンビニで働いていた方が今日から靴の販売員になる事は、ごく普通のことなのです。

店頭にいる販売員さんのフィッティングの知識レベルはあなたと同じか、

あなたが、この「CINDERELLA SHOES magazine」を読んでいる時点で、あなたより下かもしれません。

お店はなぜシューフィッティングに力を入れないのか。

では、なぜお店はフィッティングの教育をしないのでしょうか。

こんなに困っている人が多いのに。

実はシューフィッティングは突き詰めれば突き詰めるほど、オススメできる靴が少なくなっていく技術です。

既製品である「靴」と、千差万別の形を持つ人間の「足」

一人の人間の足でも、左右が全く同じ形の人はいません。

一方で靴は大量生産の既製品。左右は必ず同じ形で、形の種類も限られている。

この二つを合わせようとすること自体が、最初から無理のあることなのです。

 

また、フィッティングを本気でやると2~3時間の接客時間が必要になります。

その間一人のお客様にかかりっきりになります。

そして時間をかけたのに、合う靴がないという事が続出します。

 

お店の目的は靴という商品を売って利益を得ることです。

そうでないと、仕入れもできないし販売員さんにお給料を払う事もできなくなります。

 

そう。

「靴を売る」という目的を持っていると、シューフィッティングを突き詰められなくなるのです。

完全な利益相反です。

フィッティングに力を入れると、専門的な知識を持ったスタッフの教育や人件費が増え、

接客効率は落ちて更に売れる足数も下がり、

結果として投資額が増えて利益が落ちるという最悪の事態を引き起こします。

企業として、力を入れようとは思わないのが普通ですよね。

 

現在では百貨店などには必ずシューフィッターが一人はいます。

日本の百貨店が重視する「おもてなし」の一環として導入されている様です。

(因みにシューフィッターのマークはこんなです。お店によっては胸にバッジつけている人もいます。でもシューズアドバイザーとか勝手に作った肩書き名乗ってる人もあるのでご注意です)

でも、お店に行ってもほとんど目につく事がありませんね。

大々的に告知しているお店はほとんどありません。

上記の様な理由で、人数はとても少ないので全てのお客様にご提供はできないし、

また、全てのお客様に提供したらビジネスは成り立たなくなってしまうのです。

売上ノルマに縛られていない専門家が必要

最近、少しづつですが靴の販売店に属していないシューフィッターが出てきています。

サービス料はそれなりに高額ですが、靴を売っていないのですから

合わないものは合わないとハッキリお客様にお伝えする事ができます。

そして、「ブランド」や「お店」に捕らわれることなく、世の中に売られている全ての靴の中から最も近しい靴を選び出します。

そして、靴の方に足に合わせるための「調整」も行います。

突き詰めれば100%足に合う靴は存在しませんが、

選ぶ選択肢が増えることは、ぴったりの靴に出会える可能性を少しでも上げることが出来ます。

「その靴が売れること」ではなく、「フィッティングという技術そのもの」が商品になっているから出来ることです。

この事は、とても重要なことです。

 

シンデレラシューズは靴を売っていないシューフィッターがいます。

あなただけのシンデレラシューズ、見つけたい方は是非ご相談ください!

 

Written by Kumi Matsumoto

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