こんにちは。
ヒール選びのパーソナルトレーナーの、松本久美です。
Cinderella Shoes Lab.はぴったりのハイヒールを求める女性のためのフィッティングサロン。
本日も足と靴に関する情報をお届けしていきます!
さて、今回も次回の続き。
3部作の最終回です。
前回のショッピングアテンドで、
- 普通に歩いてても常に少し痛い
- 靴を履いてなくても押したら痛い
という事がわかり、
早々にハイヒールは無理、という事が判明したM様。
最終的には細幅のスニーカーを購入したんですね。
で、そのままこのスニーカー履けるかって言うと・・・・・。
う〜〜ん、多分無理かな・・・><
通常、アテンドで購入された靴は、必ず調整をする訳ではありません。
一回持ち帰って頂き、外で履いてみて、実際のトラブルが出るのか明確にします。
トラブルがあれば調整を行い、なければそのまま履いてもらいます。
でも今回は、足の状態から推測して、そのままで履けるとは思えなかったのです。
今回のプランがクラウドファンディング限定の調整までの3回セットだった事もあり、
こちらからちょっと急かして(汗)、すぐにインソール調整の予約を入れて頂きました。
目的は、外反母趾を出来るだけ補正する事。
今回のスニーカーは、別段どこに痛みがある訳ではありません。
ただ、そのまま履くと親指の位置はここらへん。↓
(実は、インソールなしの状態の写真撮り忘れました・・・。↑この写真、すでにアフターです 汗)
普通の方の中指あたりに親指の爪があるのです。
これを如何に、本来あるべき場所に持っていけるか、です。
今回使ったインソールは、あんまり出番のない特大サイズ(左)の中足骨パッド。
厚みも幅も長さも、特別に大きいのです。
これ、私も試しに入れてみた事がありますが、スニーカーなんかに入れたら
あたりが強すぎて、痛くて履けたもんじゃないんですが・・・・。
M様の場合は、「すんなり収まる」との事!!!
位置の微調整を2〜3mm単位で前後・左右に繰り返し、ベストな位置と向きを決めていきます。
そして、甲も実はまだまだ緩い!
甲の真下にインソールを足し、圧力を補完していきます。
甲は毎回キチンと4つめの穴からギチギチに紐を締め直して履いてもらうのですが、
M様、最初は慣れずにあんまり上手く結べない・・・。
でも、試し履きは何度も何度も行うので、施術が終わる頃にはかなり素早く・きつく紐が結べる様になられました!
靴紐って、締め直すのめんどくさい〜〜って思いますよね。
でもね、慣れれば両足で1分もかからない。
私はスニーカーの紐結び、両足30秒くらいでちゃんとギチギチに結べます。
慣れなので、それで足が守れるなら大した時間ではないですよね。
基本のアーチサポート、甲の圧力補完、足首の傾きの補正を行った所で指の位置をチェック。
おお、何とかあるべき位置に親指の爪が・・・・・!!
M様も、
「え〜〜!!指がまっすぐになってる〜〜〜?!」
はい。これ位は出来ますよ〜( •̀ .̫ •́ )
これは、下から落ちた横アーチをインソールで持ち上げ、
さらにぴったりに底上げした甲周りを紐でギチギチに締め上げた事によって
骨の位置が戻ってきたんですね。
まだ、母指球は膨らんでいますが、触ってみると最初ほどの圧迫は無くなっています。
上手くインソールが役割を果たしてくれた様です。
「調整」は必ず外履きチェックが入ります。
Cinderella Shoes Lab.の調整では、
一旦、7割程度まで調整ができてきた時点で、外に「歩行チェック」に行ってもらいます。
室内では、靴の履き心地は絶対にわからないですよ〜。
室内では、「え〜〜!こんなに指がまっすぐ向くなんて!!」と喜んでくださっていたM様。
でも、歩行チェックから帰ってくると・・・・。
「締めた紐の部分が当たって痛い・・・・。」
はい。こんな事ってよくあるんですよね。
あなたなら、どうします??
よくある回答は、
紐をゆるめる。
ですよね・・・。
でも、察しのいい方はおわかりかと思いますが、紐を緩めるは不正解!!
痛い部分を入念に指で押して、正確な位置を確認すると・・・。
実は、裏の素材がちょうど途切れている部分だったんですね。
そう、単純に切り返しの段差が当たってるだけだったんです↓。
↑施術時に写真取ってないので、その辺のスニーカーで撮影しました(汗
キツく足をホールドする事に慣れていない方は、すぐにここで「締めすぎた!」と思い、緩めてしまうのですが、
それをやってしまうと元の木阿弥。
またユルユルな靴で、外反母趾が進行するだけ。
こういった場合は、段差をハンマーで叩いて平らにするのが対処法になります。
今回はスニーカーなので、かなり素材が分厚く、私もかなり苦戦しました><
でもトータルで20分くらい金槌で叩いて、ほぐして・・・を繰り返し。
あんまり強く叩くと、革や縫い糸が切れたりもするので、優しく、何度も何度も、叩きます。
履いてみて→まだ当たる、また履いてみて→後もうちょっと・・・・。
3回目の試着にて、やっと何も感じない状態に!
そして、最終の外履き歩行チェックに行かれ、帰ってきたM様の言葉。
「人生で初めての、痛くない靴です!!」
あぅ〜〜〜、よかったです〜〜〜〜・・・・( ノД`)
でも、・・・・・、今までの人生で痛くない靴がなかったって事ですね。
こんな辛い事あるでしょうか。
まるで人魚姫の呪いの様なお話です・・・涙
↑あ、人魚姫の怖いバージョン知ってますか?
人間の足と引き換えに、魔女から歩くたびに足の裏を「ナイフで刺されるのと同じ痛み」という呪いを与えられるっていう・・・゚゚(;>艸<;)
そして、インソールを糊で固定している時におっしゃっていた言葉。
「実は、”足に良い靴はキツい”って聞いた時、痛くても我慢しなきゃいけないんだ〜って、ちょっと憂鬱だったんです。
でも、足に合う靴ってこんなに締め上げても、全くキツイなんて感じなくて、むしろ足が軽いものなんですね・・・・!!」
そうそう、そんなんですよ。
皆さんよく仰るのが、ぴったりの靴はある程度の圧迫がないとダメなんですよ、とお話しすると
「それは痛い靴を我慢して履かなきゃいけないって事ですか?」って言葉が返ってくる場合があります。
痛かったら、絶対にダメですよ〜〜〜!!!><
「圧迫」「キツイ」「ホールド」
この辺りの言葉を聞くと、もう頭の中で自動変換で =「痛い」に繋がっちゃうみたいですね・・・。
これらの言葉と「痛い」はイコールではありません。
足をホールドするための適切な圧迫・キツさは必要ですが、
痛みが出ているという事は何か別の部分が合っていないのです。
例えば指の形がとトウの形状と相性が悪かったり、カットラインが骨に食い込んでいたり・・・・。
今回の事例でいうと、切り返しが当たって痛かったんですよね。
これが、きちんと理由を調べないと「キツイから」だと勘違いして緩い靴を選んでしまったりする訳です。
でも、これは治療ではありません。
とても喜んで頂いたので、私もやった甲斐があったのですが・・・・。
これで、この靴さえ履いてれば外反母趾も安心!!・・・・・では無いんですね。
Cinderella Shoes Lab.は病院ではありませんし、施術は医者ではありません。
外反母趾って医療用語なので、医師免許のない者は「治療できる」って言ってはいけないんですよ。
(↑薬事法という法律で罰せられます!)
ただ、できる限りの事はやらせて頂きました。
私も、すでに1000人近くの足をみてきたわけで、やはり一般の方とは知識の量も違います。
当サロンのインソールは、基本的には「その靴を快適に履けるようにする」事が目的の主であり、
外反母趾などの足の治療を謳ってはおりません。
ただ、一時的にアーチを作って痛みを感じにくくする事などは可能です。
ただ、難しいのが医療機関に行けば「治る」のか、というと、そうでもないのが難しいところ・・・・。
もし行くのなら「整形外科医」ではなく、体の使い方の専門家である「理学療法士」に見てもらってください。
その方が、改善する確率は高まるでしょう。
外反母趾って、薬や手術などの病院が得意とする方法では治らないんです。
本当なら運動やストレッチなどを行い、自分の足の筋肉がつき、自然にアーチが戻り、治って行くものです。
外反母趾を解りやすく例えるなら、肩こりみたいなモノでしょうか。
とりあえず、今ある肩の痛みを取りたいからマッサージに行く。
その時は楽になるが、「治る」訳ではなく、症状が、軽度⇄重度を行ったり来たり・・・。
年齢とともに徐々に悪化、ついに「五十肩」で腕が上がらなくなって初めて病院へ。
「痛み止めの薬」を渡され、徐々にそれが強い薬になっていく・・・。
こういう事ってよくありますよね。
肩こりの原因って、実は姿勢(=体の使い方の癖)だったりする訳で、
これを正さないと他の事は全部対処療法で、根本解決ではないですよね。
今回行ったインソールは、マッサージみたいな物です。
インソールのある靴を履いている時は痛みが軽減されるでしょう。
でも、別に外反母趾が治ってる訳じゃないです。
ただ肩と違うのは、足は全体重が乗るので、痛みが出てくるとトレーニングさえ出来なくなってしまう点。
なので今回の1足は、「トレーニング用の痛みの出ない靴」のご準備をお手伝いしたつもりです。
M様には今後、この靴を使って体の改善をやって頂きたいですね。
足指の体操・マッサージ・脚のストレッチ・筋トレ・テーピング・歩き方・・・・。
諸々、沢山のお話をさせて頂き終了となりました。
今回、実は結構悩んだのです。
クラウドファンディングのプレゼント企画の方だったので、お断りするのもどうかと思い・・・。
もし、一般でお申し込みのお客様なら、「すぐにお医者様に行ってください」とお願いしていたと思います。
「足の計測」はどなたでも受けられますが、そこで重篤な変形が見られた場合は、
これ以上の施術をお断りする場合もございます。
今回はその事例という意味でも書かせて頂きました。
M様。
ここ数年の体への向き合い方が、今後の人生変えると思いますよ。
頑張ってくださいね!!
Written by Kumi Matsumoto
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