洗っても消えない表革の「傷」は、絵具でほぼ新品状態に?!

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こんにちは。

シンデレラシューズはぴったりのハイヒールを求める女性のためのフィッティングサロン

本日も、足と靴に関する情報をお届けしていきます!


さて、またまたかなりお久しぶりでございます。苦笑

ただいま、シンデレラシューズの新規事業の立ち上げでいっぱいいっぱいになっておりまして、

ブログが滞りまくっております・・・。

サロンの常連さまにも、「最近書いてないでしょ!」と突っ込まれており、笑

申し訳ない限りです・・・・。

もうちょっと(ちょっとかよ)、ペースあげようと思っております・・・!!

目次

意外に需要のある、靴のメンテナンス情報。

先日とあるファッション雑誌の靴選びの特集の監修をさせていただいたのですが、

(また、発売されたらFaceBookやメルマガなどでお知らせしますね。)

その時に編集者の方がご興味持ってくださったのが、意外にも靴のメンテナンスでした。

シンデレラシューズの施術者の松本は、今はシューフィッターをやっておりますが、

経歴としてはメーカー勤務で靴を作っていた方が実は長いのです。

なので、革の扱いはソコソコ知識があるのですね。

もちろん、プロの修理屋さんほどの専門性はありませんが、

私の勤務していたメーカーは中敷交換・トップリフト交換などの修理対応していて、

その業務は下っ端の新入社員が、空いた時間を見つけてやる仕事でした。

実は私、社会人1〜3年目くらいの頃に修理担当者だったのです!

だから、底の張り替え以外の事はだいたい出来てしまうのです。

あの頃は、修理担当者って意外とめんどくさくって大変だなあ、と思うこともありましたが

何十年も経って、役に立つこともあるんですね。

面白いものです・・・。

革は洗える!でも、洗う事が一番最適な方法かは解らない。

その雑誌の1コーナーに、以前書いた「靴は洗える」という記事を抜粋で掲載してもらう事になりました。

その時、編集さんに

「これって、革素材の全般に全て通用するんですか?」

と聞かれました。

これ、実は素材や、汚れの種類によって変わります。

前回は「革って実は洗えるよ!」っていう内容でしたが、

今回は「洗えるけど素材によっては、効果的な方法は違うよ!」

という内容になります。

革って水に弱いけど、絶対に洗えない訳じゃないんですよね。

でも、ゴールは「靴をキレイにして、機能はしっかり守る。

それを目標にすると別の方法の方が適している事もあります。

というわけで、今回は表革の表面に出来た大きな傷や、色が剥がれてしまった靴の補修方法です。

まずは、何の汚れかを見極める。

一番大事なのは、「何を改善したいのか」と言うことをキチンと見極めると言うことです。

この靴が、汚く見えている原因はなんなのか。

汚れ・キズ・しわ

大きく分けて、この3つが靴のルックスと落としてしまう原因だと思います。

今回のターゲットはこちら。

とてもとても昔に買った、オジ靴。

かなり汚れてしまっていて、自然と手が伸びなくなってここ数年は一回も履いた事がありません。

でも、オジ靴も定番になっている今、デザイン的には履けるかな〜・・・と思っていたのです。

さて、まずは現状確認をしていきましょう。

かなり、汚れています・・・・苦

元は白い靴なのですが、グレーの靴と勘違いされるくらいドス黒く、汚れて全体がくすんでいます。

この汚れ、同じように見えて実は二種類あります。

  1. 汚れ
  2. 傷・はがれ

これ、対処法が違うので注意してください。

「汚れ」は、大体がホコリや地面の砂や土などです。

時間が経つとこびり付いて落ちにくくなりますが、

基本的には丁寧なブラッシングや掃除用のラバーでこすったりすると薄くなります。

油分系の酷い汚れ(自転車の油など)は洗った方がキレイにとれます。

でも「洗う」って、もう履けなくなるリスクを常にはらんでいることは忘れずに。

靴の手入れの基本中の基本は「ブラッシング」です。

丁寧にブラッシングするだけで、かなりの汚れは落ちます。

それでもとれない汚れは「ラバーでこする」。

※ラバーってこんなの↑です。

ラバーは革が傷つく可能性があるので、優しく、ピンポイントでこすってください。

それでも落ちなくて、もう捨てるしかないという最後の手段として「洗う」が初めて出てきます。

生地の靴はやっぱりブラッシングで革やスエードより、汚れが落ちにくいので

他の素材よりは洗う事が選択肢に上がりやすいですが・・・。

洋服の洗濯でも同じですが、汚れの違いによって洗濯機のモード変更をしたり、洗剤を変えたりします。

それと同じで、靴もその汚れにあった方法をきちんと選んでくださいね。

実験として、洗ってみた。

今回は、汚れも全体的に広がっていた事もあり、

また表革の汚れを「洗い」でどこまで落とせるか実験の意味も込めて洗ってみました。

(スエードも同時に実験したので、また別の記事で書きますね。)

洗い方については、前回の記事と同じなので省略します。

さて、一枚目が洗う前・二枚目が洗った後。

あれ・・・?汚れが濃くなってる・・・・?

と思いませんか??

そう。水に濡れると傷や表面のはがれた場所は色が濃くなるので、余計に目立つ事があります。

ただし、乾燥するとまた元の色に戻るのでご安心を。

一度濡れた後に、紙をパツパツになるまで詰めてつっかえ棒をかませ、

横に広がっていた甲部分を手でしっかり立たせて整形した↑ので甲のシワがキレイに伸びているのはお解りでしょうか?

最初は飾りボタンが上を向かずに紋章が見えませんでしたが、整形のおかげでベルトが元の位置に戻りボタンも上を向いてキチンとした印象に。

かかとの部分もつっかえ棒のお陰で、キュッとしまっています。

これは普段からシューキーパーを使っていれば、こうなる前に維持できます。

私がサボっているだけです 笑

革傷に一番効果的なのは、色補修。

さて、丸一日以上乾燥させたら、革傷の状態は以下の通り。

乾いても、まだ目立ちますね。

でも、汚れは結構落ちているので、洗いの効果はあったようです。

↓ベルト下の洗う前と、洗った後。

あとは、この剥がれてしまった表面の色を何とかしなくてはなりません。

そんな時にお役立ちなのが、この革用の絵の具です!!

コロンブス アドカラー↓

これ、革補修用の絵の具なのです。

ポスターカラーのような質感ですが、さずがに革専用とあって

乾いた後に靴を履いてもヒビ割れなどは一切なし。

表側にぴったりな程よい艶も出ますし、その後のお手入れも上から革のクリームを塗ってもOK。

かなり、素晴らしすぎる製品なのです。

※ただし、スエード・エナメルには使えません!!

これ、メーカー時代もほんとよくお世話になっていました。

たくさん色も揃っているので、混ぜて自分で色を作れます。

普通に筆で色を混ぜて作り、水で適度な濃度に薄めて使います。

よくある、すでに色が作られているタイプの色補修剤↓ありますよね。

ズラ〜っと透明なケースに入って売られていて、目につきやすいのでそちらを選ばれる方も多いと思いますが、

ほとんどの場合、革と全く同じ色には出会えないはず。

あと、どちらかと言うとあれは革に栄養を与える事に重きを置いていて色を補修するのは副機能のような存在。

だから塗っても、色は薄づき。

今回のように、大きく剥がれてしまった傷には向いていないんです。

その点このアドカラーは濃く色がのるのと、自分で色が作れるので本当に便利。

一度塗るとやり直しが効かないので、まずは目立たない所に少量塗ってみて色の確認をしてみてくださいね。

目で見て同じ色だと思っても、塗ると微妙に違うという事がよくあるので必ず塗って確かめてください。

コツは、

革の色が暗い時は、革よりほんの少し暗く。

革の色が明るめの時は、ほんの少し明るく。

そうすると塗った時に馴染んで見えますよ。

今回は、混色しなくても「ホワイト」が、そのまま革とぴったり同じ色だったのでそのまま塗ります。

使い方は、本当に絵の具と同じです。

ペタペタと筆で塗ってください。

するとこんな感じに↑。

縫い目の縁の、こんな小さなエリア↑もしっかり見落とさずに塗ってください。

ほとんど解らない状態にできます。

思い切り表面が剥がれていたトウ先も、左は未補修・右は補修済みです。こんなに違います。

大きなこすれ傷が入っていたかかと↑も、この通り。

片足だけ補修した状態↑ですが、違いは一目瞭然ですね。

しっかり、両足共に塗り終わったらこんなに↑キレイになりました!

新品とは言いませんが、塗っていない中敷との違いがあまりにも凄すぎるでしょう? 笑

表革の傷には、革専用の色補修絵の具を!

お解りいただけましたでしょうか?

表革の汚れには二種類あって、傷には洗ってもブラッシングしてもあまり効果はありません。

一番効果的なのは、塗ってしまう事。

でも、この方法も「汚れ」には不適切だし、

スエードやエナメルには使えません!

※とんでもない事になるので絶対やらないように・・・!! 汗

今回は洗いも実験的にやって見ましたが、洗いが効果的だったのは汚れではなく「しわ」でしたね。

結果的に、シワが伸びて洗う前よりもキレイに見えるという事になりましたが、

汚れを落とすという意味では、あまり大きな効果はありませんでした。

なんでも同じですが、原因を見極めて一番効果的な方法で対処する事が大切です。

(インソールでの靴ズレ改善なども、考え方は全く同じですね)

革靴は、手入れ次第で本当に美しく蘇る事ができます。

足に馴染んだ靴は特に手放したくない人も多いでしょう。

皆様もぜひメンテナンスを覚えて、大切な靴を長い間愛用してくださいね。

 

Written by Kumi Matsumoto

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