根強いトラブルは歩き方? 体と靴の密な関係 〜年間会員N様の場合〜

Other Shoe trouble 過去の体験レポート。 靴選びの教科書

こんにちは。

ヒール選びのパーソナルトレーナーの、松本久美です。

Cinderella Shoes Lab.はぴったりのハイヒールを求める女性のためのフィッティングサロン。

本日も足と靴に関する情報をお届けしていきます!


さて、前回から会員N様のレポートをお届けしておりますが、今回はパート2!

前回、大きな勘違いが二つ発覚したN様でしたが、今回は実際の施術内容を見ていきましょう。

N様の足の特徴

まずはN様の、足と靴のデータを。

【足データ】

  • 右 足長22.0cm 足囲B(A)
  • 左 足長21.5cm 足囲C(A)
  • 両足カカトのカーブ真っ直ぐ / ハンマートウ / 右の小指の浮き趾 / 右の足首の内倒れ

【靴の購入経験・靴関連サービスの利用経験】

  • 足の計測=靴販売店の無料計測→2回 / プロの計測→2回
  • セミオーダーシューズの購入経験=6足以上

この様に、N様は販売店の無料計測も含めると足の計測は当サロンでなんと4回目。

それでも手元に快適に履けるパンプスは一足もありませんでした。

また、この4回の計測ではそれぞれ別の測定値が出ていたりします。

この度重なる経験が、前回の記事でも書いた「混乱」を作り出していました。

当サロンでは「B〜C」と言う測定値が出ましたが、でもコレは100%的中するものではなく…。

あくまで目安であり、お手持ちの靴を実際はいてチェックした所、「Aが妥当」と言う評価でした。

また、足の歪み関係もいろいろお持ちです。

一つ一つの歪みを見ると重症じゃ無いけど、数が多いという感じ。

これはこれで、難しい足でした(簡単な人はいないのですが) 苦笑

混乱の原因になった「キツイ」と言う感覚

でも、何足も所持しているサイズがあっているはずの細幅靴。

それが何故履けないのでしょうか?

それは、細幅の靴の履き心地が「キツかった(痛かった)」からです。

細幅の靴を履くのだから、いつもよりもキツイ履き心地になると想像していませんか?

実は本当にフィットした靴は、どちらかと言うと何も感じなくなります。

この「キツさ」を見る時にとても重要な事があります。

それはどこがキツイの?」と言う場所です。

この↑ABCは、パンプスを履いた時によく痛くなる場所です。

でも、この中で本当に足囲が小さすぎた場合に痛くなる場所は、たった一つしかありません。

答えはAのみ。

BとCの場所に出る痛みは、足囲のサイズは関係ありません。

N様のトラブルの場所は、主にBとC。

この部分は、足囲がキツくても、緩くても起こります。

ちなみに、Cが痛むのはトウ先の形状が足の指先の形状と相性が悪い時に起こり、

Bは履き口のカットラインが骨に食い込んでいる時に起こります。

でも、靴選びの方法を「サイズ」の一択しか知らなかったN様の中では、

キツイ(痛い)→小さい足囲を買ってしまった!!

と結びついてしまったんですね。

この場合のN様の適切な対処法は、足囲の大きな靴を買うではありません。

正解はこちらです。

足長と足囲は21.5cm~22.0cm、足囲はAの靴の中から

トウ形状がもっと丸みを帯びていて指が当たらず(C

カットラインはもっと深く骨が包まれ食い込まない靴を選ぶ(B)

サイズを変えるのではなく、更に絞り込む。

上記↑の内容を図解にすると、以下↓の様になります。

過去のN様は、図の上半分「足長」「足囲」のサイズしか知らなかったので、

その数字が間違っているのでは?と考えて、靴を何度も買い替えておられました。

ですが、シンデレラシューズにきた事によって、もっと絞り込む必要が有ることを知ったのです。

トラブルの原因をググったりすると、すぐに単体の項目に目が行きがちです。

例えば「細幅だから」「足に左右差があるから」「指が長いから」の様に。

でも、それを単体で解決しても、他の条件が満たされていなければ、また別の原因のトラブルが出るだけ。

↑上記の図で言うと、条件全てが満たされた真ん中の小さな赤い印がN様にあった靴となります。

また、この図解は解りやすくする為に項目の数を減らしていますが本来はもっとあります。

上記の図解の丸が何十個にも増える感じ↓です。

この図をみて、頭に浮かぶ言葉はありませんか?

「理屈はわかったけど、そんな靴あるの?」

これ、お客様に靴の選び方をレクチャーすると必ず言われる言葉です 笑

こちらの答えは、ご想像通り「NO!」

見つかればめちゃくちゃラッキーですが、見つからない事の方が多いでしょう。

だから、「調整」と言う技術があります。

世の中に売られている靴の中で、足に近しい物を選び、それを足に合わせてカスタマイズするのです。

これが一番、現実的。

調整なしで、この円の中心の靴を探すたびに出ると….多分帰ってこれないと思います…苦笑。

N様の会員終了時の状態は?

会員終了時の最終結果はこんな感じ。(ちょっと、うろ覚えです…)

  • 黒プレーンパンプス→当日はOK。長期利用時のチェックが時間切れ
  • 赤フラットパンプス→小指の痛みが軽く残った
  • ゴールドバレエシューズ→小指の爪を剥がされる様な痛みが残った
  • シルバープレーンパンプス→OK。ただし、不良品だったため長時間に履かない様にお願いし、そこまで深く調整はせず。
  • スニーカー→OK
  • 黒ブーツ→OK
  • グレーブーツ→OK

一年間で、パンプス4足、スニーカー1足、ブーツ2足を調整しました。

スニーカーやブーツはそんなに難しい調整はないので、再調整はなしで完了。

でも、パンプスは難易度が全く違います。

一足一足、足と靴の関係性は異なる為、細かく見ると施術内容は異なりますが、全体を通してみると、全部の靴で行った内容があります。

  1. かかとの靴擦れ
  2. 小指の痛み

この二つが、N様の足の特徴的な所。

N様はかかとがまっすぐな方なので、全部の靴でかかとが靴擦れしており、調整の取り掛かりはいつもカカト。

原因は一つではなく、何度も色んな内容の施術せねばならない複雑なものでした。

複数の細幅ブランドの靴、全てで起こっていたので、かかとに何もしないで履ける靴はほぼ無いと思われます。

でも、幸いかかとは色んな施術が行える場所。

時間はかかりますが、後から調整するならばギリギリ購入しても良い靴が多いでしょう。

 

また、小指もほとんどの靴で痛みが出てい他ので、ほぼ全部の靴で「伸ばし」を行いました。

革の伸びの限界まで伸ばしてもまだ痛いので、靴底を外して内部の「のり代部分」を引き出してくる、と言う方法も何度も使いました。

靴底を剥がして…
のり代を引き出して….
底を貼って、のり代に色を塗ると、目立たない!

 

こちらは靴の劣化を早めるので、ご了承頂いた方のみに行っている施術ですが、靴の形を根本から作り変えてしまうので、強烈な指の痛みも解消する事が多いです。

それでも小指の痛みが解消しなかった靴もあります。

これは私も初めての経験でしたが、靴の上から触っても全く圧迫はなく靴と足の間に空間があるのです。

でも、歩くと痛い!

それも、通常の痛みではなく爪を剥がされる様な痛みだと….。

N様は歩く時に指を上げてしまう「指上げ歩き」↑があります。

これが、「浮き趾」と「小指の痛み」双方のトラブルの根本原因だと思われます。

指上げ歩きは、歩いて居る最中に強く指を反らせてしまう癖ですが、反らせると言う事は爪の位置が上に上がると言う事。

指を上げるたびに、爪を靴の上面に押し付けているのです。

運悪く今回の靴は履き口にゴムが入っており、歩くたびにゴムのたわみで足が前後するのです。

爪が靴に押し付けられる所に加え、足の前後により、爪先が剥がされる様な感覚になっていたのでしょう。

靴をもっと伸ばす事も考えましたが、その時点で靴と足は触れておらず、のり代ももうギリギリという状態。

上記の画像を見ると、伸ばしで確保できる高さを超えて趾が反っています。

N様と話し合った結果、これ以上靴を伸ばすよりも「指上げ歩き」と「浮き趾」を治しましょう、と言う結論に至りました。

 

N様はその時点で、会員限定の「フットケア」をうけた事がなかったのですが、

上記の様に、体の歪みや無意識の歩き癖が、靴のトラブルになっているという事を理解され、期限終了のギリギリで一度だけ受けられました。

一回の施術で浮いていた小指を着地させる事は出来ましたが、そう簡単にこれが定着する訳ではありません。

ただ、浮き趾が降りたのは事実。

その日集中的に緩めた筋肉が、日常的に緩めば浮き趾は治るという事はわかった訳です。

セルフマッサージ法などをお教えして、様子を見ていただく事になりました。

N様、ご本人に感想いただきました!

【年間会員になる前の、靴に対する気持ちを教えてください。】

可愛い靴は快適に履けないものだと諦めていました。

おしゃれをし始めた大学時代に可愛い靴は脱げるものなのだと思い、ヒールのある物は基本的にベルト付きで妥協していました。

その後、子供が生まれた事もあり毎日スニーカーで過ごしていましたが、

5年ほど前に機械で足のサイズを計測した結果に合ったサイズの靴を買えるお店があると知りいくつか出向きましたが、

それらのお店では私に合うサイズの靴を作っていないと言われ、自分の足が細いせいで靴が脱げるのだとその時初めて知りました。

その後シューフィッターさんに手で計測して頂き、おすすめされたAワイズのパンプスをいくつか購入しましたが、

届いたパンプスで出掛けると足がとても痛くて、合ったものを履いても可愛い靴には苦痛が伴うのかとパンプスは諦めました。

細幅メーカーさんの新作は時々チェックしていましたが、サイズが合っていても痛くて履けないから眺めるだけでした。

【年間会員が終わった後の靴に対する気持ちを教えてください。】

足と靴に対しての意識が大きく変わりました!

自分の歩き方や筋肉についた癖や、足の特徴をきちんと把握できたと思います。

筋肉の癖のせいで疲れや痛みを感じる事があると知り、歩く時に気をつける事で足の疲れが大きく変わりました。

また、痛む時もどの部分がどのように痛いのか、痛みにきちんと向き合う事が快適な靴にする為の最初の一歩だと知りました。

【年間会員を経験してみて、良かったことを教えてください。】

調整は1度では終わらないという事を知れた事です。

ほんの5分歩いただけではその靴が痛い靴なのか痛くない靴なのかは分からなかったり、調整した靴で後日15分以上歩いてみると分かる事もありました。

もし単発のサービスへ参加していたとしたら、調整をしても痛い靴なのだと諦めて終わってしまっていたと思います。

【最後に松本にメッセージをお願いします!】

1年間ありがとうございました。

とても楽しく充実した1年でした。

調整中に松本さんとたくさんお話できた事は贅沢な時間だったと思います。

豊富な靴と足に関する知識を惜しみなく話してくださりとても理解が深まりました。

本当に毎回楽しみで、最後はとても寂しかったです。

試着会や新しいプランに参加したり、ラインでご相談させて頂いたり、今後もよろしくお願いします!

施術者側から見た感想。

N様、一年間本当にありがとうございました!

本当に多くの学びをいただく事が出来ました…!

私もN様とのお話がいつも楽しく、施術中はずっと女子会状態で楽しく過ごさせて頂きました 笑

また、頂いた感想のメッセージを読み、N様の中にあった混乱状態を紐解く事はできたのだと胸を撫で下ろす思いと同時に、

「一足の靴に複数回調整を行っても良い」と言う事に気がつくのが遅れてしまったので、少々時間切れだった様に感じています…。

もう少し時間があれば、フットケアをもっと何度も行う事が出来たでしょう。

もう一人の会員E様の事例では、足が柔らかくなるとトラブルが消えたと言う報告もあったので、

もっと調整の効果を高められたのでは、という後悔も少し残っています。

ただ、今後もまた来たいと言ってくださったN様の言葉を信じ、次回お会いできる時までには、更なるパワーアップをしてお待ちしております!!

身体までアプローチするのが2021年の会員です。

2019年版の年間会員はフットケアまでが、サービス内容でした。

でも、上記の様に身体の方の問題で限界がある場合が少なくありません。

それを解消したいという思いで、元々勉強していた歩き方や姿勢の事を、コロナ禍の間に必死で勉強しました。

それがトータルでご提供できる様になったのが来年からスタートするCinderella Shoes Membersなのです。

私は出来るだけ、歪みや歩き癖も調整でなんとかならないか、と考える様にはしています。

でも、どうしようも無い時もあります。

だからそこ作った、身体からのアプローチを含むCinderella Shoes Members。

皆様と一緒に、靴を楽しめる世界を作っていきたいと思います。

Cinderella Shoes Members 会員募集中!!

Written by Kumi Matsumoto

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